デパートのワンフロアを所狭しと化粧品売り場が軒を並べ、また、バラエティショップでも化粧品の棚の数が断トツに多いのを見ると、改めて化粧品の数の多さと化粧品を販売する会社の多さに驚きます。CMや新聞の折り込み広告を見て思いませんか?食品会社が化粧品を売り出したり、まったく畑違いなところからも化粧品が生まれています。
化粧品は化粧品会社が製造・販売するものだという“餅は餅屋”ではもうなくなりました。薬の研究を化粧品の成分に活かす、食品の栄養素を化粧品の成分に活かすという理論で、新しい視点はとても新鮮で、納得する部分が多いとなると違和感はなく受け入れられいます。
そのおかげで、自分の肌にあった化粧品の選択肢が増えたという点ではかなりのメリットですが、その反面、金額に幅があるとどれが良い化粧品なのか、どれが自分の肌に合うのか、かなり迷ってしまうというのも多い声。
そして、無意識に化粧品に肌を合わせるという選び方をしている人がほとんどではないでしょうか。だから、広告の謳い文句を理由に化粧品を選び、その効果が期待できなかったときには、その化粧品は良くないというレッテルを貼るのです。その繰り返しでは、いつまでたっても正しい化粧品選び、美しい肌づくりはできないと思います。
【化粧品は値段が高いほうが肌に良い化粧品なの?】
化粧品の値段が高い理由ってなんでしょうか?いくつか検討していきましょう。
1) 美容成分
独自に開発した新しい成分となると、研究費や設備費、原料の希少性、製造の効率性の関係等で値段が高くなります。また、自然由来成分というのは、抽出に時間や設備がかかります。よく“天然成分”と謳っているものがありますが、正しくは“自然由来の天然成分”になります。
天然成分そのものを化粧品に配合することはできません。その中の不純物や肌の刺激となる成分を取り除かなければ、化粧品に配合することはできません。野菜のキュウリやレモンを薄切りにして、顔にのせるという画を見たことがあると思いますが、あくまでも美容イメージであって、実際は肌が荒れたり、かぶれたりすることがあるでしょう。
2) 容器代
容器によっても化粧品の販売価格は高くなります。量販ではなくアイテムごとに形が異なり、「型」から製作が必要なものは高額になります。また、ガラス容器や色付の容器、二重構造の容器など高級感のある容器も化粧品の価格に反映されますので高額になります。
3) デザイン代
容器およびパッケージのデザインやロゴ(ブランドのイメージを印象づけるマーク)をデザイナーに依頼すると高額になります。量販の箱にシールを貼るだけの簡易なものは安価なものが多いですが、容器の形に合わせてアイテムごとにパッケージも形が異なるとなると、価格は高くなります。
4) その他(宣伝費、広告費)
CMや雑誌などの1ページまたは両開きを占める宣伝やチラシ広告など、製作費やモデル、人件費を含め経費がかかっています。
つまり、化粧品の値段はそのまま“内容の値段”というわけではないということです。しかし、中身の良さをアピールするためには、容器やパッケージ、デザイン、広告等で訴求していく必要があります。結論として、「良いもの」だから「高額」というのは販売側の言い分で、その化粧品が肌に合わなければ、高額でも「良い」とは言えないのが、私たちの言い分ではないでしょうか。
【高い化粧品と安い化粧品で肌に与える作用は違う?】
値段が安い化粧品は容器やパッケージが量販品のものが多いです。中身も化学的に合成する成分だと原料が安く仕入れられますし、製造ライン(工程)においても、大きな窯で大量に作ることが可能です。つまり、コストが抑えられているから安くできるのです。中身が良くないから安いのではなく、コストの問題です。
また「ナノレベル」とか「ペプチド」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは、成分の分子の大きさを小さくしたものです。たとえば、コラーゲン成分そのものは、分子が大きいので皮膚に吸収されませんから、分子を小さくして肌に浸透するようにします。美容成分をナノ化したり、ペプチドに変化させたものになります。こういった技術を駆使した美容成分を配合している化粧品は値段が高額になります。
簡単に言うと、値段が安い化粧品はビーカーの中に水と美容成分の原液を入れて、くるくる混ぜて作るといったようなものに近いです。つまり、肌に浸透するように時間と工夫がされた化粧品は高くて、混ぜ合わせただけの化粧品は安いということです。
【どうしたら自分に合う化粧品が見つかる?】
化粧品の正しい選び方として、化粧品の価格が肌の改善効果を保証するものではないということを忘れないようにしましょう。その上で自分に合う化粧品を探すには、自分の肌質がどうなっているのかをしっかり理解していることが必要です。美肌の基本は、肌本来の生理機能の正常化を目指すことです。
そして、化粧品を使ってみて肌に潤いを実感できること、時間の経過とともに肌に浸透して肌の表面にいつまでも残っていないこと。まずはこの2点を満たす化粧品を探してみましょう。コラーゲン配合とかヒアルロン酸配合という謳い文句にこだわらず、角質層に浸透する化粧品を選ぶようにしましょう。表現としては「すぐに浸透して物足りない」「いくら塗ってもベタベタしない」というぐらいのものを判断材料にするといいかと思います。
また、肌のコンディションが安定してから化粧品の効果が発揮されると思いますので、化粧品を使い始めて2週間~4週間は、肌荒れや乾燥が改善されているかどうかをよく観察しましょう。肌が改善されていれば、その化粧品は肌に合っていると言えます。もし、改善が見られないとか何も変わらにようなら、化粧品を変えたほうがいいでしょう。
【化粧品がなんとかしてくれると思ったら大間違い】
誰だって肌にトラブルや悩みをかかえています。悩みが尽きないといってもいいでしょう。勘違いしていることは、「化粧品がなんとかしてくれる」という先入観です。目の前の肌状態を無視して、いきなりシワやたるみのない肌を目指そうとしている人がほとんどではないでしょう。階段をひとつひとつ上るように、肌の基礎から改善していくお手入れを考えて化粧品を選んでいくことが美肌への近道です。
肌が改善されていけば使う化粧品も変わる。肌は生きているのですから、肌の状態や変化に合わせて化粧品を使用するようにしましょう。
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